■Raw Data from NNSA
原発事故関連でほとんど生データが公開されていない中、米国核安全保障局(NNSA)は事故後の3月下旬から5月上旬にかけて日本国内で行われたデータ4種類を緯度経度入りで公開されており、ここからダウンロードすることできる。日本国内でこれまで公開されたデータは、例えば文部科学省の「放射線量等分布マップ」のように、既に加工されているデータなため、このマップから「チェルノブイリ原発事故により強制的な移住措置が取られた1,480,000Bq/m2以上の汚染エリアはどの程度の範囲なのか」、というような問題には一切答えることができない(というか、そのような「問」自体を否定している?)。
■航空機による測定データ
そこで、NNSAから公開されたデータの中で、US DOE/NNSA Response to 2011 Fukushima Incident- Raw Aerial Data and Extracted Ground Exposure Rates and Cesium Depositionに注目し、そのデータを以下の方法で加工し、Cs-134とCs-137の合計値が1,480,000Bq/m2を超えたエリアの特定を試みた。
■方法
上の航空機のデータは、Google Earthなどでの参照を考慮し、KMZ形式で公開されている。そのため、直接エクセルなどで読んでもわけが分からない。そこで、緯度経度と測定値のみを抽出する簡単なスクリプトを作ってデータを取り出した。それがこれである。このCSVデータの最後のカラム134+137は、元データにはなく、Cs-134とCs-137を単純に合計したものである。
次に、このデータをXYデータ(デリミティッドテキスト)としてGISソフトに読み込み、IDW( 逆距離荷重補間)によりCs-134とCs-137の合計値を補間し、ラスターデータのKMZを作成した。そのラスターデータから1,480,000Bq/m2を境界に等高線(コンター)を作成した。
■表示方法
上のリンクから濃度分布を表すためのラスタデータから作ったKMZと強制移住エリアを示すKMZの2つをダウンロードし、Google Earthに読み込ませたら、画面左のウィンドウで当該ファイルのプロパティを編集し、透明度や線の色を適当に調整する。下の画像のように表示できれば成功である。
■結果
結果は、以下の図のようになった。データの取得が等間隔ではないため、取得されたデータの飛びが大きい場所ほど誤差が大きくなるが、文部科学省の汚染マップと全体的には大差は無いようである。1,480,000Bq/m2以上のエリアを見ると、相当な範囲に及ぶことがわかる。
■考察
まず、何で日本の行政機関や関係機関は「生データ」を公表しないのか?特に文部科学省の「汚染マップ」からはどこに最大値があるとか、どのあたりが最も危険なのか、安全なのか、そもそもそのような「評価」に公開されたマップが使えるのかわからないし、また、どうやって色分けしたのかも不明である。そんな中で米国の政府機関がこのように生データを公開し、その一方で当事国の日本がほとんどその種のデータを公開しないのは、なお一層の不信感を募らせるだけではないだろうか?